今ではクラシックの登竜門
2021年、最初の3歳重賞は第55回シンザン記念(G3)だ。今年は、レース史上初めて中京競馬場で開催される。過去10年の勝ち馬にはジェンティルドンナ、ミッキーアイル、アーモンドアイという3頭のG1馬がいる。さらに2着以下からもオルフェーヴル、マルセリーナ、ジュエラー、アルアインなどが後にG1を制覇。特に牝馬にとってはクラシックへの登竜門といっていいレースである。
2021年もノーザンファーム生産馬が主役
今年もクラシックを見据える牝馬が出走を予定している。ノーザンファームが大きな期待をかける良血のククナ(牝3歳、美浦・栗田徹厩舎)だ。8月の札幌で未勝利戦を勝ち上がると、アルテミスS(G3)に挑戦。ソダシに次ぐ2番人気に支持され、先行馬有利の展開を跳ね返し、直線追い込んで2着に好走した。ソダシには0秒3差つけられたが、鞍上を務めたC.ルメール騎手は「良い瞬発力がありますし、次は楽しみです」と振り返った。
血統的にもクラシック向きだ。母クルミナルは現役時代に新馬戦、エルフィンSを連勝。チューリップ賞は大敗したが、桜花賞2着、オークス3着と善戦した。母がなし得なかった牝馬クラシック制覇に向けて、牡馬相手でも負けられない。
ノーザンファームが送り込む牡馬の代表格がレゾンドゥスリール(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
すでに重賞2着の実績を誇るククナに対して、こちらはまだ新馬戦を勝ったばかり。それでもデビュー戦に騎乗した川田将雅騎手からは「これからの成長が楽しみな馬」と期待の言葉が飛び出した。ポテンシャルは一級品だ。
11月の新馬戦は、前半38秒0の超スローペースのなか3番手を追走。直線残り200mを切ったところで先頭に躍り出て、そのまま後続馬の追撃をしのぎ切った。 もちろん血統背景もククナに負けていない。レゾンドゥスリールの母は12年の阪神JFを制したローブティサージュ。3歳時は不振に陥り、クラシックで結果を残せなかったが、古馬になってから1200mのキーンランドC(G3)を勝つなどスピードを武器に5歳秋まで活躍した。
良血ノーザンファーム生産馬2頭に対抗するのは、朝日杯FS(G1)4着のバスラットレオン(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
デビューからすでに4走し、安定感ある先行力で好走を続けてきた。前走は3着のレッドベルオーブと半馬身差。3走前の札幌2歳S(G3)では、ソダシと0秒3差。ククナと対等の力を持っていると見るべきだろう。
2走前のラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)から2戦連続で中2週というローテーションはやや気になるが、レース間隔を詰めて結果を出している矢作厩舎ならむしろプラスか。春の大舞台へ向けて、賞金加算を狙う。
やはりノーザンファーム生産馬がズラリ
この他にも、ノーザンファーム生産の実力馬がそろっている。デビュー2戦目で変わり身を見せ、未勝利戦を快勝したセラフィナイト(牡3歳、美浦・宮田敬介厩舎)は祖母にスリープレスナイトを持つ良血。期待の新種牡馬モーリスを父に持つピクシーナイト(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、デビューから2戦連続で上がり最速をマークするなど、鋭い末脚を武器としている。同じくモーリス産駒のカスティーリャ(牡3歳、栗東・橋口慎介厩舎)は、追分ファーム生産馬。2走前の未勝利戦では、レコード勝ちしたレッドベルオーブの2着に好走。後に朝日杯FSを制したグレナディアガーズ(4着)に先着している。 年間20頭前後を生産する上水牧場出身のダディーズビビッド(牡3歳、栗東・千田輝彦厩舎)。2走前のサウジアラビアRC(G3)では不良馬場に泣いたが、3走前の野地菊S(OP)でホウオウアマゾンの2着に入った実績がある。
果たして、出世レースのここを勝ち上がり、3歳クラシックに名乗りを上げるのはどの馬か。発走は10日15時45分だ。