朝日杯FSは伏兵馬が勝利
20日、阪神競馬場で行われた朝日杯FS(G1)は7番人気グレナディアガーズが優勝した。2着に2番人気ステラヴェローチェ、3着に1番人気レッドベルオーブと、上位人気2頭が馬券圏内に入ったが、未勝利戦を勝ち上がったばかりの伏兵が勝利するという波乱の結果に終わった。今年の秋G1はスプリンターズS(G1)のグランアレグリアから1番人気馬が7連勝。堅い決着が続いていたが、チャンピオンズC(G1)で単勝1.4倍の断然人気クリソベリルが敗れたことで記録は途絶えた。
だが、翌週の阪神JF(G1)はまたしても1番人気ソダシが優勝。これにより”芝G1”では1番人気が8連勝という“こじつけ”もできた。そのため、朝日杯FSでレッドベルオーブの勝利を信じたファンも少なくなかったのではないだろうか。そんな中、7番人気のグレナディアガーズが勝利したため、波乱という印象が余計に強くなったのかもしれない。
レース後、川田将雅騎手が「新馬の前から素質を感じていた馬」「ポテンシャルの高さは間違いありません」とコメントしていることからも、素質の高さは以前から折り紙付きだったことが分かる。それさえ見抜くことさえできていれば、朝日杯FSの的中に大きく近づいたかもしれない。
しかし、G1レース前の陣営コメント等は“景気のいい話”がほとんどで、なかなかグレナディアガーズのような1頭を見つけ出すのは困難と言えるだろう。
ただ、ある点に注目すれば、グレナディアガーズは買いだったという見方もできる。
クラブ馬の募集価格
●朝日杯FSに出走した主なクラブ馬の募集価格(総額)1着 グレナディアガーズ 1億2000万円
3着 レッドベルオーブ 8000万円
4着 バスラットレオン 3400万円
6着 ロードマックス 7200万円
7着 ドゥラモンド 4000万円
10着 モントライゼ 3000万円
こうしてみると、実はグレナディアガーズが最も高額な募集価格のクラブ馬であることがわかる。母ウェイヴェルアヴェニューは現役時代にアメリカのブリーダーズカップフィリー&メアスプリント(G1)を制した名牝。そして父は世界的な名馬フランケルという超良血馬だ。この血統背景、育成牧場での評判が募集価格に反映されて 2歳戦は力関係の見極めが難しく、好走のきっかけをつかんだ未勝利勝ちの馬が激走することも珍しくない。そのため、今回の朝日杯FSの結果が物語るように、募集価格も1つの指標になると言えるだろう。
そこで気になるのが26日に行われる2歳G1・ホープフルSの出走メンバーの募集価格である。
ホープフルS出走予定馬の募集価格
●ホープフルSに出走を予定しているクラブ馬の募集価格(総額)オーソクレース 8000万円
シュヴァリエローズ 8000万円
テンカハル 3億3000万円
上位人気が予想されるオーソクレース、シュヴァリエローズはともにキャロットファームで8000万円(20万円×400口)の募集価格となっているのに対して、ライオンレースホースの所有馬・テンカハルは驚異の3億3000万円(6.6万円×5000口)だ。1番人気が予想されるダノンザキッドが1億800万円(18年セレクトセール)で落札されているが、それをも凌ぐ高額馬である。
父キングカメハメハ、母ジンジャーパンチという良血馬のテンカハル。半姉のルージュバックは重賞4勝を挙げ、オークス(G1)でも2着に好走している。
テンカハルは未勝利戦を勝ち、前走の葉牡丹賞(1勝クラス)を11着に大敗しているため、ホープフルSでは人気薄が予想される。だが、一変するようなことがあれば、G1で好走しても全くおかしくない存在だ。
グレナディアガーズの激走で痛い目にあったファンは、ホープフルSでテンカハルを押さえてみるのも一つの手かもしれない。