ロードカナロアとの親子制覇
13日、香港のシャティン競馬場で開催された香港スプリント(G1)はR.ムーア騎手が手綱を取ったダノンスマッシュ(牡5、栗東・安田隆行厩舎)が通算9度目のG1挑戦で、ついに優勝。父であるロードカナロアが12年、13年と連覇したレースを制し、親子で香港スプリント制覇を成し遂げた。昨年は3番人気に支持されたものの、8着に敗れた。1年ぶりのリベンジを狙ったレースで最高の結果を出せたこともあり、管理する安田隆行調教師の喜びもひとしお。
「ロードカナロアと親子2代での制覇はすごいことで、とても嬉しいです。最高に良かったです。この後はまだ決めていませんが、高松宮記念にはもう一度挑戦したいと思っています」と、今年10着に敗れた来春のスプリントG1を視野に入れた。
ムーアの好騎乗
また、この勝利はR.ムーア騎手の好騎乗を抜きにしては語れない。 レース後、ムーア騎手は「枠が大外だったので、出たなりに勝負しようと思っていましたが、スタートがとても良く、前につけていくことができました。日本での成績を見ても、G1を勝てる力はあると思っていました」とパートナーの実力を評価したものの、ダノンスマッシュには初騎乗。外から勢いよく追い上げると、先行勢を一気に飲みこんだ。事前に”予習”はしていただろうが、いきなり結果を出すあたりは、さすが世界を股にかけて騎乗する一流騎手だといえる。
ダノンスマッシュといえば、これまでG1で上位人気に支持されては惜敗を繰り返す”善戦マン”のイメージが強かった。
これは同馬に限らず、朝日杯や阪神JF以降のG1を勝てていないダノンプレミアム、ダノンファンタジーや惜敗続きのダノンキングリーを擁するオーナー・ダノックスにとっても課題とされていた。
前哨戦を勝利しても本番のG1では勝てないことに対し、競馬ファンからは”ダノックスの呪い”と言われていたほどである。
「人気になっても勝てないことで、”G1のダノンは消し”なんて冷やかされていましたから、陣営にとってもこの勝利は嬉しいでしょうね。待望のG1勝利を手にしたことで、将来的な種牡馬入りも視野に入ってきます。
ロードカナロアの後継種牡馬としても注目が大きくなりますし、この勝利を機にさらなる活躍に期待したいですね」(競馬記者)
川田が主戦から窮地に?
ダノンスマッシュが悲願のG1制覇を叶えた一方、主戦を任されている川田将雅騎手は複雑な心境かもしれない。コンビを組んだ今年の高松宮記念で10着に惨敗し、スプリンターズS(G1)でも昨年は3着、今年は2着と勝利に手が届かなかった。ただでさえ、昨年のチャンピオンズC(G1)をクリソベリルで制して以来、JRA・G1を連敗中の川田騎手。1年ぶりの勝利が懸かった今年のチャンピオンズCでも単勝1.4倍の圧倒的人気に支持されたクリソベリルで4着に敗れたばかり。 騎手リーディングではC.ルメール騎手に独走を許し、乗り替わったムーア騎手にダノンスマッシュであっさり勝たれてしまった。
そろそろいいところを見せないと、G1を勝てないのはダノックスの呪いではなく、川田の呪いなんてことも言われかねない?