トライアルを勝ったのに・・・
13日に中京競馬場で行われたセントウルS(G2)は、三浦皇成騎手のダノンスマッシュ(牡5、栗東・安田隆行厩舎)が優勝。今後はスプリンターズS(G1)に向かう予定だが、その秋のG1戦線開幕戦で同馬の鞍上が川田将雅騎手に乗り替わると「東京スポーツ」などが報じ、波紋を呼んでいる。ここ2走では、ハナを奪い主導権を握るレースを展開していたダノンスマッシュ。
だが、セントウルSではセイウンコウセイやラブカンプー、ビアンフェらを見る形の4番手で進む。そして最後の直線で先行勢の脚が鈍ったと見るや、残り200mから先頭へ。そのまま後続を押さえ、堂々たる走りを見せて勝利を掴んでいた。
セントウルSは完璧な騎乗だった
レース後、三浦騎手は「いい位置を取った瞬間に、早め先頭も考えていましたし、途中から思い通りの競馬ができました」と振り返り、「センスが良いですし、学習能力が高い馬です。1400mや1600mを使ってきたのが、道中のゆとりに繋がったと思いますし、成長してくれていました」と能力を絶賛。そして最後に「馬が一生懸命走ったので、レース後の状態がカギになると思います。本番まで無事に行って欲しいです」と相棒をねぎらっていた。三浦騎手と絶妙なコンビネーションを発揮したダノンスマッシュ。乾坤一擲の走りを見せただけに、これからもコンビは継続すると思われていたなかで、降って湧いた“乗り替わり”の一報。これに対し、ネット上では競馬ファンから『なんで?』『どうして?』など困惑や、『三浦騎手がかわいそう』などの同情の声も挙がっている。
「ダノンスマッシュは川田騎手を背にした高松宮記念(G1)で10着。ですが、このとき、本来ならば川田騎手は3月のドバイ国際競走に遠征するため不在。三浦騎手が代打を務めることが決まっていたんです。ところがコロナ禍の影響でドバイ国際競走が中止。川田騎手が騎乗することになり、三浦騎手とのコンビはお流れになりました。
もしかすると、セントウルSで三浦騎手がダノンスマッシュに騎乗したのは、このときの“お詫び”の意味合いも強かったのかもしれません。川田騎手もこの日は同レースが行われた中京競馬場にいたにもかかわらず、他馬に騎乗しての参戦もありませんでしたし、スプリンターズSから川田騎手に戻るのは既定路線だったのでは?」(競馬誌ライター)
グランアレグリアも??
スプリンターズSの有力馬の鞍上を巡っては、先日も似たような騒動が起こっていた。出走を予定しているグランアレグリアの鞍上が、今春コンビを組んで活躍した池添謙一騎手からC.ルメール騎手に変更されると報道されたためだ。グランアレグリアは今年の高松宮記念から池添謙一騎手とコンビを結成。高松宮記念では猛烈な鬼脚を使ってハナ差の2着、コンビ2戦目となった安田記念(G1)ではG1・8勝を目指すアーモンドアイに2馬身半差をつけて完勝してみせた。
「現役最強牝馬の呼び声高いアーモンドアイを真っ向勝負でねじ伏せたことため、グランアレグリア×池添騎手コンビの評価は急上昇しました。ですが、グランアレグリアはルメール騎手のお手馬。アーモンドアイら他の有力馬とバッティングしない限りは、ルメール騎手が騎乗するのが基本線です。
しかし、安田記念での劇的な勝利も影響したのか、乗り替わり発表後には、池添騎手の継続を望む声が続出。なかにはSNSで『#グランアレグリア池添乗り替わりに抗議します』などのハッシュタグを使い、不満を顕にするファンも出たほどでした。
今回のダノンスマッシュの三浦騎手から川田騎手への乗り替わりでも、このときと同様のムーブメントがSNSで発生しつつあるようです」(競馬記者)
三浦騎手からダノンスマッシュの手綱を渡されることになった川田騎手としては、結果を出すことで乗り替わりが正解だったことを証明するしかない。批判を吹き飛ばすほどの騎乗っぷりを見せてくれるといいのだが……。