アリストテレス2着はルメールの手腕が大きい
またしても同じことが起こるのだろうか……。25日、京都競馬場で行われた菊花賞(G1)はコントレイルが優勝。史上3頭目となる無敗の3冠馬に輝いた。
単勝オッズ1.1倍という圧倒的な支持に応えたコントレイル。だが、レースはわずか「クビ差」の勝利だった。観戦していたファンもヒヤヒヤしたのではないだろうか。
クラシック最終戦でコントレイルをあと一歩まで追い詰めたのは、4/6の抽選を突破したアリストテレス(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
終始コントレイルをマークする形でレースを進めたアリストテレス。最後の直線では2頭が併せてデットヒートを繰り広げたが、わずかにコントレイルが凌ぎ切った。 レース後、福永祐一騎手が「2着馬が斜め後ろにいて、プレッシャーをかけてきていたので、馬がエキサイトしていたのですが、なんとか我慢してくれたと思います」と話していたことからも、アリストテレスのマークは効果的だったことがわかる。
これはコントレイルに楽な競馬をさせなかったC.ルメール騎手の好騎乗と言えるだろう。音無調教師も「さすがルメールさんだね」とその手腕を高く評価した。
前走はデムーロが騎乗していた
菊花賞で名コンビ「ルメール×アリストテレス」誕生となったが、M.デムーロ騎手の選択次第では違う結果になっていたかもしれない。「アリストテレスの近2走で手綱を取ったのはデムーロ騎手です。コンビ2戦2勝の好相性でしたが、抽選対象馬ということでデムーロ騎手は確実に出走できるマンオブスピリットの騎乗を選んだようです。その結果、2度の騎乗経験があるルメール騎手に白羽の矢が立ちました。
今年の3歳馬でルメール騎手は有力馬不在のため、このままコンビ継続となる可能性が高そうです。抽選対象馬ということで仕方ない面もありますが、11着に敗れたデムーロ騎手は騎乗馬の選択ミスということになってしまいましたね」(競馬記者)
過去にあったデムーロ騎手からルメール騎手への乗り替わりといえば、サートゥルナーリアが思い出される。
サートゥルナーリアとデムーロ騎手のコンビは、3戦3勝でホープフルS(G1)を制し、クラシックの有力候補と目された。だが、朝日杯FS(G1)を勝ったアドマイヤマーズもデムーロ騎手にとってお手馬の1頭。この2頭は皐月賞(G1)で激突するため、サートゥルナーリアはルメール騎手に乗り替わりとなった。
そして直接対決となった皐月賞はサートゥルナーリアが勝利したが、アドマイヤマーズも次走のNHKマイルC(G1)を優勝。甲乙つけがたい2頭であることを証明する結果である。
しかし、暮れの香港マイル(G1)はアドマイヤマーズにC.スミヨン騎手が騎乗。そして今年の安田記念(G1)は川田将雅騎手が騎乗し、デムーロ騎手とのコンビは解消。結果的にサートゥルナーリアはルメール騎手のお手馬となり、アドマイヤマーズはデムーロ騎手の手から離れてしまったのだ。
ラッキーライラックも・・・
さらに今年はアリストテレス以外にも、有力馬であるラッキーライラックもデムーロ騎手からルメール騎手への乗り替わりが予定されている。「デムーロ騎手はエリザベス女王杯でラヴズオンリーユーに騎乗予定のため、ラッキーライラックを諦めざるを得ませんでした。しかし、肝心のラヴズオンリーユーは前走の府中牝馬S(G2)で1番人気ながら5着に敗れてしまいました。本番に不安を残す内容だけに、またしてもルメール騎手が”おいしい”思いをするかもしれませんね」(同)
結果的にルメール騎手へ有力馬をアシストする形になっているデムーロ騎手。エリザベス女王杯で、なんとか一矢報いることができるだろうか。