-現在の心境は-理想とする枠
無敗の3冠制覇を目指すコントレイル(牡3、矢作)の主戦を務める福永祐一騎手(43)が21日、菊花賞に向けた共同会見を美浦トレセンで行った。一問一答は以下の通り。
-現在の心境は
福永 今、(報道陣に)囲まれて高揚感が出てきました。さっきまではいつもと変わらない感じでしたね。そんなにプレッシャーを感じていない。レース当日になるとまた変わると思います。(先週14日に)1週前追い切りに乗って、その2日後の金曜にゲート練習をしたんですけど、そこを終えてからはレースでまたがるまであの馬と接する機会はないですから。今週はレースまでは気楽な感じ。担当の金羅助手は毎日あの馬と接していますから、非常にプレッシャーがかかる日々を過ごしていると思うけど、自分に関しては枠順が出てから考えるという感じです。今のところはいつもと変わらない感じではきています。
-理想とする枠
福永 3000メートルはスタートしてから最初のコーナーまでの距離が短いので、物理的に外枠が不利なコース。あまり外すぎなければいいですね。でも、当たった枠で考えるしかないので。(欲しい枠順が)願ってかなうものでもないので、当たった枠で組み立てていきたいです。
-コントレイルという馬はどんな存在か
-現状でコントレイルの魅力と感じる部分福永 無敗でダービーを制したので、非常に完成度が高い馬だと言われることがありますが、乗っている感覚としてはまだまだ。まだまだ良くなりそうだなという感じ。これは経験則でしかないんですけどね。そういった中でダービーを勝てたのがすごいと思っていました。実際にひと夏を越したところで大きな馬体の変化はそう感じられないけど、後ろ脚の使い方が良くなってきました。そうなるとストライドが伸びるので、体の使い方は良くなりましたね。それがレースでどういった形で表れるか、(前走の)神戸新聞杯はそのあたりを楽しみにしていました。反応速度が速くなったように感じました。
-思い描くレースプラン
福永 特にないですね。(ゲートを)出たところで、という感じ。スタートもいい馬なので。ただ、いつも駐立が不安定なところがあって神戸新聞杯でもそういうところは見せていたけど、普通にスタートを切れれば速い馬。3000メートルなので、良いスタートを切って後方から、というのはないと思います。
-コントレイルという馬はどんな存在か
福永 やはり、騎手人生の中心にいる馬。あの馬の存在がやりがいにつながっているし、人生のハリにはなっています。
-福永騎手が騎手として大切にしていること
福永 馬ファーストで考えることです。そこだけはぶれずにこられていると思います。馬がいるから自分の人生がありますし、いいことも悪いことも、つらいこと、悔しいこと含めてさまざまな経験を馬にさせてもらっています。馬に対する尊敬の念だけは決して忘れないですし、あくまでも馬にとってベストな騎乗を考えて、追い求めてやってきています。
-3冠への意気込み
-今年はコロナ禍の中で、無敗の3冠を狙える馬が出た。そのような状況に感じるところは福永 先週、デアリングタクトが無敗で牝馬3冠を達成しました。このタイミングで無敗の3冠馬になる可能性がある馬が2頭出てくるというのは、偶然の一言では片付けられるものではないのかなと個人的には感じています。そういった馬の存在が、ちょっとでも競馬を見ている人たちの心のもやもやを晴らす一因になってくれればと思います。自分としては、そこまで考える余裕はあまりないけど、無敗の3冠馬を見たいと思ってくれる人がたくさんいらっしゃるので、期待に応えたいという気持ちを持っています。
-3冠への意気込み
福永 馬自身は順調に調整できていると思いますし、無事にゲートインするまでは気は抜けませんが、なかなかこういうチャンスはあるものではないので、ぜひ達成したいです。周りの方からは「大丈夫だろう」と言われることもありますが、競馬に絶対はありません。気だけは引き締めてレースに臨みたいと思っています。
-コントレイルはどんな走りをする馬
福永 まだ良くなりそうな走りをする馬。ようやく体を使えるようになってきました。矢作師とも話していますが、来年に完成した走りが見せられるんじゃないかと。そこが一番の魅力です。まだ伸びしろを感じるんですよね。あれだけ強いんですけど。そこがすごいところです。言葉で表すと難しいんですけど。
-1週前追い切りを乗った感想
福永 全体的にいつもよりは速くないような指示が出ていたので、タイム的(栗東Cウッドで6ハロン84秒6-12秒2)には調教師の指示通り。内容に関しては、馬の動きが鈍いようなら強い負荷をかけてくれとのことでした。反応も良かったですし、いつもの1週前追い切りと違ったのは、馬をかわしてから気を抜く面をあまり見せなかったところですね。それが馬の精神的に成長したところなのか、在厩調整が初めてだったのでその影響で馬が集中しているのか。そこは何とも言えないんですけど、いい傾向だと思います。
-今回は3000メートルという距離
福永 正直、走ったことがないことの距離なので、ダービーのときもそうでしたけど、やってみないとわかりません。ただ、3000メートルを走る上で必要な折り合い面などは、こなせる下地はあるのかなと思います。皐月賞の頃から上手に走れるようになってきましたし、今ではどんな競馬でもできるという強みがあの馬にはありますので。やってみないとわからないというのはあるんですけど、あまり不安はないですね。