7連勝で決める!
25日には、京都競馬場で3歳クラシック最後の1冠、菊花賞(G1)が行われる。主役はもちろんコントレイル(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。父のディープインパクト以来、15年ぶり史上3頭目の無敗3冠を狙うコントレイル。競馬に絶対はないが、この馬が持つスピード、勝負根性、競馬センスはまさに絶対的。同世代相手、しかも最大のライバル、サリオスが不在なら、負けるわけにはいかない。
注目はどれくらいの支持を集めるかだ。
グレード制が導入された1984年以降、菊花賞で最も高い支持率を誇ったのは、2005年のディープインパクトで79.0%だった(単勝100円元返し)。コントレイルは、前走の神戸新聞杯(G2)で72.7%という高い支持を得たが、ひと叩きされた菊花賞では父に迫る支持率を記録してもおかしくないだろう。偉大な父を上回ることができるかにも注目だ。
そんなコントレイルにも全く不安がないわけではない。あくまでも重箱の隅をつつくレベルだが、3000mという距離は自身の適性距離でないことは確か。それでも、陣営は日本ダービー(G1)直後から、3冠に向けてしっかり準備をしてきた。
「ひと夏を越えて、心身ともに成長。楽勝した前走後は回復も早く、中間にはいつも通りゲート練習を取り入れるなど、状態はさらに良化しています。1週前には、栗東CWで追い切られ、6ハロン84秒6-ラスト12秒2をマーク。パートナーの福永祐一騎手も『動きは良かった。いい精神状態にある』と自信を見せています」(競馬誌ライター)
期待に応え、デビュー7連勝であっさり快挙を達成するのか。歴史的瞬間は近づいている。
打倒1番手はヴェルトライゼンデ
打倒コントレイルの1番手は、実績面からヴェルトライゼンデ(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)で異論はないだろう。ダービーでは“2強”に次ぐ3着に好走。神戸新聞杯でもコントレイルから2馬身差の2着に入った。しかも前走は熱発明けで決して万全とはいえない状態での好走だった。血統も魅力だ。1歳上の半兄ワールドプレミアは昨年の菊花賞覇者。距離の適性という点では間違いなくコントレイルよりも上だろう。
「池江泰寿厩舎×池添謙一騎手」は、9年前にオルフェーヴルで3冠を達成した黄金タッグ。3冠の重圧を知っているだけに、不気味な存在といえる。コントレイルを徹底マークするのか、それとも思い切った戦法を取るのか。その出方にも注目だ。
伏兵馬も虎視淡々
レースの主導権を握るのは、4連勝中の上がり馬バビット(牡3歳、栗東・浜田多実雄厩舎)になる可能性が高い。4月の未勝利戦から前走のセントライト記念(G2)まで、すべて逃げ切り勝ち。持ち前の勝負根性と粘り腰が最大の武器だ。これまでの戦いぶりから、3000mの距離にも不安はない。1週前には、内田博幸騎手が栗東に駆け付け、順調に追い切りを消化。昨年11月の新馬戦では15頭立ての11番人気(2着)だったバビットは、初対戦のコントレイルから特大のホームランを打つことはできるか。
ダービーでは末脚不発の11着に終わったサトノフラッグ(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)も見限るのは早計。皐月賞(G1)ではコントレイルに次ぐ2番人気という高い支持を受けた素質馬で、前走のセントライト記念では、バビットの2着に入った。
そのサトノフラッグと1週前追い切りで併せたのが僚馬のアンティシペイトとダノングロワール。前者は3連勝中、後者は2連勝中の上り馬だが、現時点で抽選対象の身。ゲートインにこぎつければ、面白い存在になるだろう。
他には、皐月賞3着の実力馬、ガロアクリーク(牡3歳、美浦・上原博之厩舎)。青葉賞(G2)2着で、母父がダンスインザダークというヴァルコス(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)。祖母が伝説の名馬トウカイテイオーの全妹というロバートソンキー(牡3歳、美浦・林徹厩舎)。毎日王冠(G2)から、中1週での参戦を視野に入れるサトノインプレッサ(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)などが出走を予定している。
コントレイルがあっさり無敗の3冠馬に輝くのか、それとも意外な結末が待っているのか。菊花賞は25日、15時40分に発走予定だ。