今週の京都大賞典で復活が期待されるグローリーヴェイズ
「今年の上半期に関しては『失われた半年』という印象ですね」11日、京都競馬場で京都大賞典(G2)が開催される。グローリーヴェイズ(牡5歳、美浦・尾関知人厩舎)を送り込む尾関調教師にとっては、是が非でも勝ちたいレースのはずだ。
昨年は香港ヴァーズ(G1)を制し、「ロンジンワールドベストレースホースランキング」で、日本馬としては5位のリスグラシューに次ぐ、9位タイとなる125ポンドの評価を受けたグローリーヴェイズ。これはアーモンドアイを上回る、日本馬でNo.2の格付けということになる。
今年の始動戦はドバイシーマC(G1)を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で開催が中止。すでにドバイへ渡航していたグローリーヴェイズは、日本へとんぼ返りとなった。6月の宝塚記念(G1)でようやく初戦を迎えたが、17着に惨敗。これが尾関調教師の言う「失われた半年」である。
川田とコンビ決定!
グローリーヴェイズが京都大賞典を勝っておきたい理由には、今開催を以て京都競馬場が改修工事に入ることも挙げられるだろう。「これまでグローリーヴェイズはキャリア11戦のうち、6戦を京都で出走しています。関東馬がわざわざ京都に遠征するのには、平坦コースが合っているという理由があります。次に京都開催が行われるのは2023年なので、今回の京都大賞典が最後の淀での出走になりそうです。
日経新春杯(G2)を制し、天皇賞・春(G1)で2着と好相性の舞台だけに、グローリーヴェイズにとって、しばらく京都開催がないことはかなり痛手となるのではないでしょうか。京都で有終の美を飾っておきたいところですね」(競馬記者) 今回、復活を期すグローリーヴェイズにとって、新コンビを組む川田将雅騎手の存在は頼りになりそうだ。
サトノダイヤモンドと同じ状況?
過去に京都大賞典で3勝を挙げている川田騎手。そのなかでも、サトノダイヤモンドを復活へ導いた勝利は印象的だった。16年の菊花賞、有馬記念とG1・2連勝を飾ったサトノダイヤモンドは、同年の最優秀3歳牡馬を受賞。4歳初戦の阪神大賞典(G2)も制し、天皇賞・春(G1)に挑むも3着に敗れた。歯車が狂ったのはここからだった……。
秋は凱旋門賞(G1)を最大目標にフランス遠征をしたが、フォア賞(G2)で4着、凱旋門賞で15着に大敗。帰国後も調子が戻ることなく3連敗を喫して、まるで別馬のようになっていた。
そんな状況で挑んだ5歳秋の京都大賞典は、川田将雅騎手との初コンビで出走。中団の位置取りからレースを進め、4コーナーで進出を開始すると抜群の手応えで先頭に立つ。最後は後続を振り切り、復活の勝利を挙げたのだった。サトノダイヤモンドがかつての輝きを取り戻した瞬間である。
川田騎手は「復活してくれて競馬界が盛り上がると思います。ダイヤモンドが選んでくれた位置でレースを進めました」とコメント。馬を信頼した騎乗が復活のカギとなったようだ。
グローリーヴェイズとサトノダイヤモンドには、偶然にも「5歳馬」「ディープインパクト産駒」「前走が宝塚記念で大敗」という共通点がある。
今回も川田騎手が復活へ導き、競馬界を盛り上げることになるだろうか。観客が戻った競馬場に新たなドラマが生まれるかもしれない。